航空機の運航は、気象に大きく影響を受けます。特に日本の冬は、世界的にみても航空機にとって厳しい環境であるといえます。例えば、機体への着氷雪は、航空機の運航、特に離陸時に大きく影響します。滑走路への積雪は、日本の雪が滑りやすい性質を持っていることに加え、短い滑走路で比較的大型の機体が運用されていることから、オーバーランの危険性が高くなります。また、冬に発生する雷(冬季雷)は、夏に起きる雷に比べてエネルギーが大きく、機体に被雷した際の損傷も大きくなります。
航空機は、着氷雪や被雷が発生しても一定の安全性は保てるように設計されていますが、運航効率を下げてもより安全な運航を行っていることも事実です。さらに、私たちの想定を超えるような気象状況になった場合に、重大な事故や不具合が発生する可能性もあります。
このように安全性および効率性の観点から、特殊気象(雪氷・雷・火山灰等の航空機に影響を与える気象)に対する運航安全性及び運航効率向上のための技術-気象影響防御技術-の研究開発が重要となっていますが、そのためには、航空工学の枠を超えてさまざまな分野の知見を糾合したイノベーションを、オールジャパン体制で推進する必要があります。これを実現するため、運航会社・メーカ・大学・研究機関が集まり「気象影響防御技術の研究開発に関する連携協定」が2016年1月15日に締結され、「気象影響防御技術コンソーシアム(別称:WEATHER-Eye※コンソーシアム)」が設立されました。
※WEATHER-Eye: Weather Endurance Aircraft Technology to Hold, Evade and Recover by Eye